「オリラジ・藤森慎吾の半生」興味深かった

 長野県で生まれ、明るいノリの学生として、似たような友達とつるんできた。野球すきの普通の若者で、お笑いというものは意識したことはなかった。

 

1.中田敦彦との出会い

 自動車保険のオペレーターのバイトで、バイトそっちのけで、みんなを笑わせてる男を知る。出会ったことのないタイプで、興味を持ち、懐に入るのは得意だったんで、仲良くなっていった。家に行ったら、その世界が異次元でどっぷりつかった。お笑いのDVDが棚一面に並べられ、お笑いのフレーズなどをMDに編集してあった。夢中で次から次へと借りて行って、見た内容を語り合うのが楽しくなって、大親友になっていったと思っていた。ある時、VHSのテープがあって、見せてもらったら、中田が学園祭で漫才のネタを披露していた。そのネタが、無茶苦茶面白くて、「なんでやめちゃったの、何なら僕とやろうよ」って誘っては、断られていた。

 

2.親友から鬼教官へ

 4-5回目の誘いの時、「お前本気か?本気だったら、これから公園に行くぞ」と言われ、いきなり、本気の漫才修業が始まる。台本読み込まされて、一発目の突っ込みでボロクソに怒られて、「次回までにあらゆる情報を駆使して勉強してこい!」と言われる。大親友だった優しい友人が、いきなり鬼教官と生徒の関係になった。中田は、関係性が変わるのを知っていて、断っていたことを初めて知った。いきなり、やめたくなったが、自分から言い出したことだからと必死に食らいついていった。毎日が厳しいお笑いの訓練と修業になっていった。数か月の修行の後、吉本NSCに入るぞってなった。入るまでに100本のネタを作って、仕上げていくぞってなって、入るまでに100本のネタを形にして入所した。「いいか、こんなところで勉強するなんて考えるな。ここは、ステップに過ぎない。この場をチャンスにして、のし上がっていくつもりで戦え」NSCの最初の授業で自信のあったネタを披露した。しかし受けなかった。毎回毎回、次から次へと自信のあるネタを見せるが評価されない。数カ月がたって、いい加減に自信を失いかけていた。もうやめるつもりで、イチかバチか最後のネタをどれにするって話になった。藤森が「中田伝説」っていう突っ込みのない単純にたたえるネタをやろうって言う。見たことのない変な形の漫才だったが、教官に「可能性があるネタだ」と評価されて、絶対笑わないはずのライバルである生徒たちにも受けた。NSC入ったばかりで、M-1グランプリに申し込んでいたが、残り数カ月で、ネタをブラッシュアップして、「中田伝説」を「武勇伝」という形にしていく。そして、いきなりNSCの新入生がM-1の準決勝まで勝ち上がる。

 

3.いきなりのブレーク。

 いきなりの新人が冠番組をいくつも持たされる。華々しいスタート。しかし、何の下積みもない。先輩芸人やタレントを使って番組を面白く回していかなくてはいけない。人柄や芸や、トークなどが特別すごいわけじゃない。忙しい。お金は入る。しかし、手応えはない。実力のなさに苦しむ。

 

4.反動(低迷期)

 次々に冠番組が終わっていく。結果が残せない。焦る。全てが敵に見える。番組対抗番組で、他の芸人たちはバンバン受ける。オリラジは何もできない。どうするって焦っている時に、最後のふりがあった。何かしなくちゃいけない。脈略関係なく、いきなり目を血走らせ「武勇伝」を披露、受けずにあしらわれる。心折れた瞬間で、もうやめようと思った。

 

5.恩師・河本

 番組終了後、河本が駆け寄ってきて「お前、おもろかったで。血走ってたなあ。必死さが伝わってきたで。ああいう姿勢、芸人はみんな好きやねん。応援していこうと思うねん。」この言葉を聞いて、ボロボロ泣いた。そして、それから河本について仲間にしてもらった。少しずつ、先輩たちを紹介してもらって、芸人の生活を知っていく。その中で、ちょっとしたことを面白がってもらえるようになって、素の自分が出せるようになっていく。「お前、学生みたいなノリだなあ。でもお前らしくて悪くない。」

 

6.恩師・タモリ

 最後に残っていたレギュラーが「笑っていいとも」。基本的にミーハーで、こんな夢のようなことはないって思って、毎回タモリの楽屋で何か話し続けようと思っていた。ある時タモリに「お前の話は中身がないな、薄っぺらい、お前チャラ男だな。」「チャラ男」ってなんだよ。って思ったけど、否定はされていなかったと感じた。自分たちの終わりが近づいた頃、藤森が司会をするコーナーを作ってくれた。チャラ男って言ってくれたからって、チャラ男を前面に押し出した司会をしたところ、初めは、みんな反応なかったけど、タモリがチャラ男を解説するフォローを入れることで、みんなの空気が、面白がる空気に代わっていった。番組の最後で「チャラ男」というキャラクターを構築する場が得られた。

 いいともが終わって、最初のゲスト出演がしゃべくり007だった。そこで、チャラ男全開の流れになった後、これがすごい反響になった。