「親から始まる、引きこもり回復」(桝田智彦)臨床心理士

■受け入れられない言葉の攻撃に読むのがしんどくなる。心の中で反論や他者を攻める言葉があふれ出してくる。

・親から始まる(?)

・親がちゃんと聞くこと=必ず回復へ向かいます(?)

・「親育ち、親子本能療法」(?)

・学習性無力感=無力感が固定化して、引きこもりが長期化

・劣等感が強いまま、不安な環境下で、本心とは違った社会参加をしなくちゃいけない

・頑張ったのに、報われなかった結果にがっかり。親もがっかり。親の姿や言葉に、またがっかり。

・「自分が自分でよい」と思えていないことが、問題。

・「子の問題に、親が主体的に参加する」

・主に取り組み続けるのは、「親」であり続ける(?)

・元々、引き籠る本人を対象としていた。

・傾聴し、様々な心理療法を行い、本人たちは回復し、前向きに変わっていった。しかし、彼らは、しばらくすると、引き籠る「ぶり返し状態」が見られた。なぜなのか?彼らは、真面目な性格で、期待に応えようとして頑張るのである。その頑張りは「本人の真の欲求」に基づくものではないため、「誰かの期待」と言うガソリンはやがてなくなり、ガス欠になる。

・回復するものとぶり返すものの違いは何か?親のかかわりの質、ではないか。

・「安らぎから治ったものはぶり返さない」

・「親の成長」「親育ち」が必要。

・「退行」を扱う。ストレスのサインであり、無意識の欲求に基づいて現れる現象。以前は、退行を否定していた。

・治療的退行。

・遡って、やり直す。

・基本的信頼、基本的不信。引き籠った場合、母親との基本的信頼感を育みなす必要が「課題として」出てくる。

× 他人(親)に認めてもらえなければ、働かなくては、がんばらなくては!

○ 悩むことはあるけれど、人はいろいろ言うけれど、自分は自分で良い、だから大丈夫!

・自分の真の欲求を抑えてきた。親(他人)のために、生きすぎてきた。

■本当か?変わるのかなら、やってやる。6/18 十数年ぶりに長男に向き合う。

■回復のプロセス5

1.「希望」=一貫性を持って支える。安心・安全の環境を整える。

2.「意志」=ネガティブを基本とする陰陽混合する感情を親がしっかりと聞き取る。恨みつらみ、迷い不安、好き嫌い、無理難題、ああしたいこうしたいなど。無条件肯定で受容する。自分自身に価値があると思えるように支える。

3.「目的」=湧き上がってくる「これをやってみたい」を経済・心理両面からバックアップする。試行錯誤の行動を通じて、自己決定力を育む。

4.「有用性」=社会参加する。集団の中で勤勉に何かに取り組む。それを支える。5.「アイデンティティ」=「自分が自分でよい」「他者からも認められている」という確信を持つ時期。

・「いい子」に育てていませんか?「いい子」は親の期待に応えようと頑張って生きてきた。

・親からこんなことを言ってこなかったか?〜すべきである、〜すべきでない、我慢すべきである、何かあったら自分が悪い、家族の愚痴を言う

・「子の変化の前に、親の変化あり」

・「70億人分の2人への不信が、人間社会への不信につながっている」親への信頼感への回復が、人間社会への回復につながっていく。

・子が親を守ってきていませんか?親の世間体に従ってきた、親の不満を機嫌をずっとフォローしてきた、家族のバランサーになってきた

・「自分の喜怒哀楽が分からない」「自分の人生を生きる力と実感が不足」

・マルトリートメント(不適切な関り)言葉による脅し、存在を否定する発言、威嚇、罵倒、無視、育児放棄、夫婦喧嘩、兄弟の比較など。

・親子断絶=「言っても分かってくれない(信用してない)」から。

・子供のために(=親のため、自分のため)、〜しなさい、〜しないで。(=子供を信用しないから)

・無期限のサポートを約束する。

・正論はいらない=わかっている

兵糧攻め、脅しはしない=小遣はやらない、自分で稼げ、自活しろ

・「いない方がいいと思われている」「愛される資格のない自分」=親の無関心な態から感じられること

・無条件肯定=ひきこもっていていい、人と違っていい、口をきかなくていい、生きているだけでいい

・「そう」(魔法の言葉)

昼夜逆転=後ろめたさに心が崩壊しそう=心を守るために昼は寝て過ごす=苦しみの表れ

・兄弟を支援に巻き込まない=兄弟の人生を妨げることになる

・お小遣いはあげた方がいい=余計に何もしなくなる(お金を使わないように)

・社会的欲求の始まりは「親と関わりたい欲求」から

・次の変容は、「吐き出し」=溜め込んでいた思いを吐き出す時期。怒りの吐き出しが重要。

・「親を守ってきた」我が子の気持ちに気が付き、寄り添えるか。

男性は「純粋で、弱く、情けなくて、繊細」

女性は「強く、たくましく、厳しく、賢い」

・「引き籠りになったのは、お前らの育て方のせいだ」「未熟な親で悪かったね」

・「吐き出し」の前後に現れる「強迫神経症

・「人は常に変わらない決意をしている」(アドラー

 

■せめて、吐き出させてよ、自分の思い。そうじゃないと、向き合えない。

 自分には、助けがなかった。親は自分のためにならないと思っていた。父親は自分を見ると、忌まわしいものを見るように殴った。無視した。高い要求を繰り返し、認めること、ほめることはなかった。自分は、枯れてしまうと思った。母親は自分を信じて守ろうとした。しかし、すべて許し、やってあげようとするので、自分は何もできないまま人間が腐ってダメになっていくと思っていた。

 保育園から小1で父親と担任の先生から暴言暴力の虐待され、痴呆施設に入れようとされていた。なんで生まれてきたのか、神様に尋ねて泣いていた。いじめを覚悟していたし、囲まれることもたくさんあった。誰も助けてくれるわけないと思っていたので、自分で対処するしかないと思っていた。小3で青あざだらけの母親に離婚を勧めたし、中学に入ってからは父親を殺してしまうかもしれないと思っていた。中学では絡んでくる奴らが多かったので、血の抗争や少年院に行く覚悟はしていた。高校卒業後、父親に絶縁状を書いて、親との全ての縁を切って自分で生きていこうとした。父親とのトラウマは引きずって、大声を出す奴、人を攻める奴にかっとなるトリガーがある。

 自宅で勉強する気持ちは全く起きなかった。勉強とか学校とか、夢幻に感じていた。家庭での夫婦喧嘩、大声、叫び声、この嵐のような時間だけがリアルで人生だった。勉強しろと殴られたり、長時間の説教が地獄だった。自分で勉強する気持ちと格闘したのは浪人してからだった。どうしたら、勉強する気持ちになるのか、どうしたら勉強することができるのか、格闘した。とてもじゃないが、真っすぐに、社会に出て働くということはイメージできなかった。少なくとも、なんで生まれたのか、人生とは何なのか、自分とは何なのか、考えたかった。考える時間が欲しかった。(モラトリアム)大学は口実で、4年間の猶予が欲しかった。

 少なくとも2回、自分で自分を変えよう、定義づけようと決心した。

 6-7歳、自分は勉強も運動も何も人の役に立つことはできない、馬鹿が勉強しても頑張ってもどうしようもない、無駄な努力はしない(自己定義)、せめて普通の人にくっついていけたらいい(願望)、その願望のために、困っている人、泣いている人の元にいち早く駆けつけて声をかける(願掛け、約束、決意)。ここから自分の学生生活は劇的に変わっていく。

 18-19歳、親の望む人生に振り回されない、人は人、自分は自分、これからは、自分一人で生きていく、一人での飲み食い出来る場所・環境・技術を確保する、全て敵でも構わない、たった一人でも生きていく、全て自分が決めていく、そのためにも、自分の好きなこと嫌いなこと、知りたいことを何でも経験していく、全て自己責任で悔いなき人生を送る。ここから、本当の自分の人生と向き合う。

 結婚して、子供が出来た。自分が勉強してこなかったので、元気に明るく過ごしてくれればよかった。卑怯な真似をせず、いろんなトラブルも、涼し気にクールに対処できる子に育ってほしかった。中学受験は、全く理解できなかった。システムエンジニアを頑張っていたし楽しかったが、常に危機感は持って周りとの情報交換や勉強はしなくちゃと思っていた。ママには30万渡しても50万渡しても足りないというくせに、家族サービスを強く求めてきた。体がきついこともあった。家族サービスを求めるなら、稼げなくてもいいんだなと思った。低収入の福祉の仕事に就いたのに、私立中学に入学するって意味が分からなかった。その前からずっとうるさかった。タバコ臭い俺の部屋に子供を入れるなとか。自分が、たぶん偏食だったんだろうけど、殴られて、有無を言わさず、同じメニューを出されて、薬のように嫌いなものを食べるようになって、偏食であることに気が付かなくなっていたのでそうしようとしたけど、ママやおばあちゃんは甘く、偏食を助長した。子育てをめぐっての、価値観の違いで、溝ができた。ママと長男は共依存の関係に見えた。根本解決をせず、お互いがお互いを必要として、依存しあっている状態。成長することでなく、困っている状態を続け、それを困っているということで、生きがいを感じているように思えた。ママはいつも文句は言うけど、根本解決は図らなかった。おばあちゃんとも言っていたが、困っている状況が大事で、それに文句を言うことが満足につながっているように思えた。簡単に解決するのに、そうさせればいいだけなのに、それを伝えない、教えない、ルール作りをしない。文句を言って、やることが、自分の価値観を高めることのように。

 読むのがしんどかった。親から始める?って、なんじゃーって思った。自分は自分の力で何とかしてきた。甘えてるんじゃない!って思ってしまう。正直、長男の甘えを治そうとしたのに、それに反対したママとおばあちゃん。そこから、分断してしまった。何も言えない。勝手に、お金の問題も無視して中学受験(私立)。いじめだって、自分で立ち向かわないと。親に介入してもらうなんておかしい。ママの思いで中学受験させて、最後まで面倒見ろよ、だよ。てな感じで、なかなか進まなかったけど、変えられるならって、強引に20分の話時間を作った。