「強い国で分かる世界の歴史」(神野正史)2023.1.14

■「戦闘力」によって、勢力範囲が拡大(利益増大)することを学ぶ。

 ローマ帝国(白人・ラテン民族・多神教)。単なる小さな都市国家の一つだった。隣りの国の「助けて」の声に応じて、戦い、勝つ。やっつけた国を自分の植民地に。助けた国を弟分にすることになった。

(近現代世界では、米国の軍事力を各国が求め依存し、それにより米国支配が続いている)

 やがてイタリア半島を統一。先端のカルタゴ植民地をめぐる戦いで勝利。地中海一の経済大国(巨像)に小さな軍事国家が戦いを挑む。カルタゴに戦争で勝つが、つぶしきれなかったので、停戦する。そして、自衛戦争をできない「平和憲法」を押し付けて、ローマは力を貯め、カルタゴに味方しそうな国を次々と滅ぼしていく。そして、カルタゴの周辺の国々に武器、物資、作戦を提供し、ちょっかいを出させる。カルタゴの助けての声を無視して、カルタゴが武力を使った途端、カルタゴ破壊戦争に乗り出す。

(今の日本は「カルタゴ」と同じ状況。いつでも滅ぼせる。米国は表立って出てこない、他国に攻めさせて、最終的に米国の物にすればいい、と思っているはずだ。また、今のウクライナ戦争も全く同じ。2014年でウクライナで戦争をけしかけたが、あまりに弱かったので、ミンスク合意で停戦しておいて、武器、技術、訓練を提供して、今に至る。)

■「分割統治」

 支配する都市毎に、権利や自由度に格差をつけながら、都市同士が条約を結ぶことを禁じた。一極支配を揺るがすものは、敵が連携すること。一極支配vsバランスオブパワー。これが世界の歴史。

(分断し、争いの種を作り、連携を絶対に許さない。米国は、その知恵を学んでいる。日本とロシア、中国、韓国と領土問題を作っておいて、対立させておいて、領土問題が解決できそうになると、恫喝してつぶす。北方領土の解決を米・ダレスがつぶした。米国はロシアに、北方領土を返還したら、そこに米軍基地を作ると思わせてるし、実際、日本は米国の属国で、自由に米軍基地を作ることができていた。(日本人の意識次第)本当の独立を日本が望めば、米国の横暴を防ぐことができるが、それ相当の圧力をかけ、意地悪してくるのは必然だ。

 中国の歴史では、「秦」の統一の動きに、各国が合従連衡策をとるが、当然「秦」は、分断工作を行い、1つずつつぶしていって、統一に至る。

 ヨーロッパの歴史では、1つの強く国が現れると、合従連衡してつぶしにかかる。フランスが強くなれば、フランス包囲網を敷く。ロシアが強くなれば、協力して抑え込む。ドイツが台頭してくれば、協力して叩き潰す。

 イギリスの分断統治は有名だ。中東の大帝国を分断するために「民族」で対立させた。インドも分割統治、ミャンマーも。

 今は、クワッドで中国包囲網を敷いている。

 欧米のネオコン、国際金融資本などの世界支配グループの横暴な動きに対抗するため、中国、ロシア、イラン、シリア、インドなどは連携して、抵抗している。

■一気に変革させようとすると、多くの敵を・恨みを作る。

 中国統一を果たした「秦」は、15年で滅ぶ。「秦」は、地方豪族「王の一族」でなく、「秦」の手足を派遣して統治させた。「儒家」の思想を廃止した。

(トランプもストレートに敵を作っていった。さじ加減は難しい。戦略に詳しいなら、敵の勢力を分断・敵対させる事が出来たらよかった。ネオコン、国際金融資本、ユダヤアングロサクソン共産主義者アナーキストを対立させたらよかった。)

 漢は、秦のやり方を反面教師にした。王の一族に統治を任せた。しかし、社会が安定してくると、弱いところからつぶしていった。

 徳川幕府体制も同じ。危険勢力に気を使った。軌道に乗るとともに、いちゃもんを付けて敵対勢力をとりつぶしていった。

■歴史は、玉突きで大きなうねりになる

 漢の北方には、「匈奴」や「鮮卑」の遊牧民族がいて、貢物をして暴力を止めてもらっていたが、漢は力を蓄えて、西域に力を拡大していく。西方に追いやられた遊牧民は、玉突きに押し出され、最終的にフン族の大移動によって、欧州東部のゲルマン民族が、欧州に大移動していくことになる。

 これによって、ラテン民族のローマ帝国は分断される。ラテン民族によるローマ文化は終焉する。ゲルマン民族流入を免れた東ローマは、ギリシャ文化と混じり合っていく。ラテン民族の後ろ盾がなくなった西ローマのキリスト教会は、支配者のゲルマン民族に、媚びへつらっていく。禁じられてる偶像崇拝、金儲けや利益を前面に押し出す。教会とつながることで、被支配階級のラテン民族の統治がしやすいくなることを強調した。

■戦闘民族化するゲルマン民族キリスト教

 ローマ帝国の後継であると自負しており、西ローマを認めていなかったビザンツ帝国だが、セルジューク朝トルコ(トルコ民族・イスラム教)に圧倒されていく。やむなく、イギリス、フランス、ドイツ(神聖ローマ帝国)に助力を求める。聖地奪回を目指す「十字軍」を結集。十字軍は7回侵略を試みるが、1回目だけの勝利で、あとは連敗続き。同時にレコンキスタで、イベリア半島イスラム勢力との闘いがあったが、これには成功する。十字軍の際にベネチアが、こともあろうかイスラム勢力でなく、ビザンツ帝国を攻撃し、ラテン帝国を建国する無法ぶり。コンスタンティノーブルの貿易拠点が魅力だったとのこと。

 イスラム勢力領地への侵略を繰り返し、軍事国家として力をつけるとともに、ゲルマン民族キリスト教国たちは、イスラム帝国の強さ、文化の高さを思い知る。そして、イスラム帝国で保管されていたギリシャ文明を再認識することになる。これをきっかけに暗黒のキリスト教文化の権威が下がり、ルネッサンス(哲学、科学、文学)が始まる。

■天下無敵のモンゴル帝国を止めた3か国

 モンゴル高原で起こった遊牧民族国家がチンギス・ハンを中心に周りの国家を吸収、巨大化。世界各地の強国が、太刀打ちできない中、エジプトのマルムーク朝が、モンゴル勢力を撃退。ベトナムも、モンゴル勢力を撃退。日本も、鎌倉幕府が2度にわたる侵略を撃退。

 モンゴルの後継国。中国・元(漢民族・仏教)。ティムール帝国(モンゴル民族、イスラム教)、オスマン帝国(トルコ民族、イスラム教)、モスクワ公国(白人・ゲルマン民族ギリシャ正教)。

 オスマン帝国は、モンゴルを撃退したエジプトのマルムーク朝を滅亡させ、アジアの入り口を支配。欧州は、オスマン帝国に要所を抑えられ、やむなく、アフリカやアメリカを目指すことになる。中東の1部リーグでは、歯が立たなかった欧州国家も、アフリカやアメリカ大陸の平和な5部リーグレベルの民族は、国家をあげなくとも、虐殺、支配が可能だった。現地の財宝を収奪し、武器を渡して、現地人同士で殺し合いをさせ、力をそぎ、武器の代わりに敗北した現地人を奴隷にして、それを転売して、無から有のぼろ儲けをする。

■倫理観のない無法の戦闘民族による世界侵略時代

 いち早く世界の海に進出したポルトガル、スペインは、争わず世界を半分ずつ奪うトルデシリャス条約を結ぶ。

 王者だったスペインだが、スペインからオランダが独立。オランダが、追い抜いていく。ところが、スペイン艦隊を海賊の力で葬ったイギリスが、オランダをも引きずり下ろす。

 植民地獲得競争で、アフリカ大陸、アメリカ大陸、欧州(オーストリアvsプロイセン)などでイギリス、フランス両国は戦い続けるが、ほぼすべて、イギリスの勝利となる。アメリカのイギリスからの独立戦争時は、フランスがアメリカをバックアップし、一矢を報いる。ところが、ここで資金を使いまくったフランスでは、民衆が目覚め、フランス革命で王族を処刑してしまう。

 イギリスはインドに東インド会社を設立(ユダヤロスチャイルド)。インド内での対立をそそのかし、分割統治。綿産業地にして、世界一の力をつける。蓄えた資金で、紡績機を発明、英国本国で綿織物を作ることでさらにコストを下げ、大儲けする。

 欧州での戦争の中古武器を安く買い取って、西アフリカに売って、代わりに黒人奴隷を買う。これをアメリカ大陸で売って、砂糖や綿の栽培の労働力で使う。出来た綿や砂糖を欧州で高く売る。何重にも利益がもたらされて、イギリスは世界の王者となる。

 ロシアが、強くなって港を求めて侵略しようとするが、ことごとくイギリスがロシアの敵対勢力に味方して、ロシアを封じ込める。

 英国というより、英国のユダヤ資本、ロスチャイルドは、東インド会社にとどまらず、最先端の産業をすべて独占しようと動く。インドの綿、茶、アフリカの黒人奴隷、金、銀、砂糖、ダイヤモンド、中国の茶、陶磁器、財宝。南アフリカの欧州人が作った国々も、その豊富な資源を奪うために戦争を仕掛けすべて奪っていった。